11月30日、3地区で催されたクロージングイベントをもって閉幕しました。
期間中は沢山のお客様にお越し頂くことができました。
関東の人間にとって静岡県は近いのにもかかわらず、残念ながら通過してしまうことの多い地です。今回、このような芸術祭に参加する機会を頂き、滞在できたことによって改めて静岡の素晴らしさを沢山感じることができました。
私が滞在した蒲原エリアは情緒溢れる東海道の旧宿場町です。由比漁港が近く当然海の幸が豊富、また果物にも恵まれた温暖な地であり会期の11月晩秋でも南国のようでとても過ごしやすいところでした。
そして、なんといってもビエンナーレのタイトルにもなっている「富士山」のお膝元です。富士市の街中で信号待ちをしていたとき、信号よりも上に富士山の頂きが見えたときは吃驚すると同時に「ああ、ここは富士山の麓の地なんだなあ」と感動しました。
富士の山ビエンナーレは民間のアート好きの方々が有志で立ち上げた芸術祭です。行政主導ではないからこそ可能になった三つの市に跨がった旧東海道の宿場町繋がりという大変面白い展示エリア構成となりました。その分、資金面等いろいろ困難はあったと思いますが、沢山の熱心な地元のボランティアの皆様、多彩な職業の方々で構成されている実行委員会の皆様の熱意によって表舞台を用意して頂いた私は身が引き締まる思いでした。
会期が始まりウェブ等で地元の方々が投稿して下さった沢山の作品写真やコメントを拝見しました。少しでも地元の皆様にアートの面白さ楽しさが伝わったなら幸いです。
最終日も天気に恵まれた蒲原、旧五十嵐邸。
蒲原地区クロージングイベント行灯行列
夜の五十嵐邸も素敵です。
蒲原の皆さん、消防団の皆さん総出で盛り上がりました。
てっきり元々この町にあるイベントだと思っていたら、なんと!今回の為に企画されたと知り感動。。
行列後、振る舞われた甘酒は、婦人会の皆様が昼間に五十嵐邸の厨房で作られたものです。いい匂いがしていました。五十嵐邸では普段からお茶会や音楽コンサートが催されたり、有形文化財といえど地元の皆様に愛され守られている生きている家なのです。そんな場所で余所者の私が現代アート作品を展示できたのは光栄なことでもありました。
鷹岡地区では、勝木繁昌さんの作品「航海」富士山竹取物語伝説の船上でジャズライブ。
ミュージシャンも照明さんも、このビエンナーレで繋がった地元の方々です。
勝木さんのこの作品では毎週末イベントが催されました。先週は地元のエレクトーン奏者・稗田未央さんの幻想的なライブでした。
イベント最後は総合ディレクター 山重徹夫氏 、実行委員長 谷津倉龍三氏、勝木さんに導かれ居合わせた参加作家全員が船上に上がり(頑丈!)1人ずつ挨拶で締めくくりとなりました。
お越し頂いたお客様、運営のスタッフの皆様、本当に有り難うございました。
ビエンナーレです。また二年後、さらにその後も、旧東海道の展示エリアはさらに長く繋がり、人の輪が大きく広がっていく芸術祭になることを祈っております。
2014.12.1
FARP 富士の山アーティストレジデンシープログラムアーティスト
小林正樹