旧五十嵐邸は、沢山の古いガラス窓から降り注ぐ光が大変奇麗な邸宅です。
「大正3年(1914)に、当時の当主故五十嵐準氏が歯科医院を開業するにあたり、町家を洋風に改築。その後昭和15年ごろまでに、西側・東側部分をそれぞれ増築し、現在の形になりました。
平成12年には、旧来の町家の特徴を残しながら外観が洋風、というユニークな造形が評価され、国の有形登録文化財となりました。」
(静岡市ウェブサイトより)
会期中、私は三度、蒲原に滞在することができました。
その時撮影した気まぐれ写真を載せたいと思います。
滞在時によって天気や時間も様々。窓が多く自然光の影響の強い五十嵐邸はそのつど様々な表情を見せてくれました。
五十嵐邸は、FARPとFUJINOWAからの作家が混在している一番人数の多い会場です。
玄関入口の真上の部屋が、私の展示している技工室です。
技工室は、かつて差し歯を作ったり薬の準備をしていた部屋です。
懐かしの黒電話。
現役です。
鳴ってました。
立派な神棚と金庫。
蒲原の他会場の旧家のどの家にも立派な神棚がありました。
左の障子にあるモノクロ写真は、FUJINOWAから参加の銭谷均さんの作品。
水盤の作品は、FARPから参加の占部紗也香さん。占部さんとは夏に四万温泉のワークショプ現場でもお会いしました。あちこちの美術展に精力的に参加されている多忙な方です。この時も兵庫での展示が同時進行のようでした。
この円盤の作品は、私と同じFARPから参加されてる東城信之介さん。
薄い金属板をさらに極薄に表面を切削することで起きる乱反射を利用したホログラフィのような作品です。最近アジアにも進出されて注目されている作家さんです。お酒に強くレジデンスでなかなか寝かせてもらえません笑
五十嵐邸には素敵な中庭があります。
中庭の奥には蔵が。もともと宿場町の長屋は中庭を挟んで奥に蔵があったようです。お隣さんも数軒隣のレジデンスで滞在した古民家も同じ構造でした。
中庭の池や井戸に展示されているのは、地元作家の環FUJINOWAから参加されているガラス作家の石垣幸秀さんの作品「水象 みずのかたち」。
ガラスは透明なので水との境目が曖昧に見えます。雨の日は井戸まわりに吊られている水滴の様な作品がこれまた雨と曖昧に見えて素敵でした。
井戸には古い電動ポンプ(今は不動?)。当時は二階の診察室まで水が送られていたそうです。歯医者さんで口濯ぎは不可欠ですものね。
五十嵐邸にはカメやメダカがいます。
亀は2匹。福太郎と福次郎。
わたしのブログでなにかと登場している人、FARPから参加の齊藤寛之氏の作品。
襖に描かれた伝統的な動物や鳥と、現代アートのドラゴンとフェニックスの競演です。
百八個の球が配置されている数学的なこの作品は、FARPから参加の赤堀里夏さん。
いつも陽気なイタリア帰りの方です。
五十嵐邸は内部にもガラスがふんだんに使われています。この季節、日中は自然光が奥まで差し込んで来て明るいです。
手前右の和室が待合室、奥のグレーのリノリウムの床の部屋が治療室です。
この帯状の無数の紙によるインスタレーションは、FARPから参加の山口貴子さんの「Develop」。富士や富士宮は、近代になって製紙業で栄えた街です。この材料は現地の製紙工場から調達されたそうです。現地で素材を調達するというスタンスで制作されています。山口さんは、あちこちの美術展に参加されている超多忙な方です。
左奥の部屋が私の展示している技工室です。
ちいさな小窓が、いい感じです。
治療用の椅子。
うがいをするための機械でしょうか?
患者さんが往来で使った階段。
左の白い棚の中には、私の作品「多すぎる幸せ」