五十嵐邸の見学ルートでは、一番最後に見る2階の1番奥の部屋、「技工室」。
この部屋は、かつて歯科医院だったという痕跡が多く残されています。
歯科技巧の為の部屋なので、数々の道具や薬品、素材を入れていただろう棚や引き出しが沢山並び、壁際には無骨な作業台。
作業台の下には金属を伸ばす為の圧延ローラや台には小さな万力が備え付けてあります。
初めて下見した時、このまま金工のアトリエにできるのではと思うほどでした。
今となっては空のガラス棚。そのなかにこっそり小作品を配置。
これは、おそらくほどんど気づかれなかったかもしれませんね。
治療室との間の小窓。
こちらで薬の処方薬のやりとりなどをしたのでしょうか。
「untitled」 真鍮・鏡
この作品はビエンナーレ後、壁面作品に作り直しまして恵比寿にある現代アートの画廊 Gallery Kobo CHIKAの企画展「30voices,30variations」に2014.12/5~24まで出展しております。
(詳しくは Kobo CHIKAウェブサイトにて)
2階唯一の水場、中庭の井戸水はポンプでここまで引かれていたのでしょうね。
そのすぐ横の作業台には石膏の痕跡が。
四葉のインスタレーションは2007年からやっています。
今のタイトルになったのは2010年の現代美術画廊「ギャラリーなつか」での個展でから。
この富士の山ビエンナーレバージョンは、同時期に開催の京都「木津川アート2014」の同シリーズのものとは、だいぶ異なる見せ方をしています。(制作は同時進行でしたが)
五十嵐邸は窓が多く斜光外光の美しい室内空間です。
他所での同シリーズの展示は、ライティングとそれによる影も重要な要素なのですが、こちらではあえて自然光のみの展示です。外の世界をより作品中に取り込みたかったのです。
時間帯や天候によって見え方が変化する様は、私の予想を越えるものでした。
会期中ほとんど現場に滞在出来なかったのですが、何人ものお客様のウェブに投稿して下さった作品写真(皆様大変お上手です!)を拝見することで、様々な私の知らない表情を改めて発見することができました。