端午の節句をテーマにした「見立て」のあそび。
伝統芸術作品と現代アート作品との見立てによる融合と相違で生まれる空間演出と鑑賞者とのコミュニケーション。
これまで個々が制作してきた作品を主に、古来日本に存在し茶の湯にも取り入れられた「見立て」の手法を用いて再構築しようとする試みである。
この「見立て」により、各作品がジャンルの枠組みを超えた対比、相関関係、新たな意味合いが生まれてくることを目指している。
○展示作品
[兜]制作/後藤慶大・斎藤寛之・福成三太
兜は生死をかけた戦いから身を守る為だけでなく、強い武将の象徴という意味合いも強く派手な意匠の物も多い。その時代に於ける技術が結集した美術品でもある。
勿論、そういった見方は従来から存在しているが、我々は現代の視点から兜をとらえ個々の技術を生かしたものを考えた。
古いものでは、栄螺や鯱を模した兜は存在するが、戦国の武将が恐竜の存在を知っていたならば、強さの象徴として必ずや兜に取り入れたのではないか。
子供の日ということもあり、そのような遊び心も盛り込んだものとなっている。
[鯉のぼり] 制作/斎藤寛之
鯉のぼりは元来、滝を登った鯉が龍になったという故事にちなんだものであるが、「龍刀」を鯉のぼりに見立てている。
[掛け軸・鯉の滝壺]制作/小林正樹
端午の節句の掛け軸といえば鯉の絵等が一般的だが、真鍮板を同心円に叩いた金属造形作品を水面に映る波紋に見立て、掛け軸としている。
[菖蒲の池]制作/後藤慶大
台火鉢は大名等の身分の高い人が使用する火鉢である。灰の代わりに水を
溜めた台火鉢を池に見立て、菖蒲の花を活ける。