美術家  小林正樹
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中之条町日影の大きな蔵「かふぇ蔵」

日影エリア「小さい蔵」の地主さんのこと

 

先日、お陰様で中之条ビエンナーレ2013からの延長展示による「六合七月小径」展も無事終えることができました。


 群馬県吾妻郡中之条町(旧六合村)日影地区、昨年四月の現場調査以来16ヶ月もの間、地主のMさんから「小さな蔵」を展示場所としてご提供頂きました。

Mさんには、場所の提供だけでなくレジデンス滞在制作中は毎晩のようにお食事の差し入れやレジデンスが使えない時はご自宅のゲストハウスに泊まらせて頂いたりと大変お世話になりました。

母を亡くしたばかりの独身の私にとって、Mさんの家庭料理は本当に沁みて元気づけられたのです。

 

 作品撤収のタイミングでなにかお礼できることは無いかと思い、同じ敷地内の「大きい蔵」(三宅さんが展示した場所)でMさんが今年から始められたお店の看板を作ることにしました。

 

看板制作(制作番外編・たまにはこのような金属工作も)

サンプルを何種か用意して横浜と中之条町間をFAXでやりとり。

お好みの字体を選んで頂き、要望を伺います。

 アルファベットやカタカナよりもひらがなが柔らかくてよいとのことで、ひらがなで制作することに。

 

字体が決定したので私も作業に入ります。

使う材料は純銅板。贅沢に1.5ミリ厚でいきます。

10円玉より厚いですよ。

ちなみに銅の代名詞の「10円玉」は純銅ではなく青銅です(銅にちょっぴり錫、亜鉛が入った合金)

 

 

糸鋸切り返しの穴もあけたので、切り抜き始めますか。。

 

 

糸鋸による地道な作業です。
原始的なこのやり方が一番奇麗で無駄がありません。

日中が多忙なので、静かな作業だと夜なべできてよいです。

 

 

銅板は、あらかじめ「荒し鎚」という自作した荒し模様の金槌で叩いて、岩肌のように荒らしてあります。
これは、質感の表情の深みを出すだけでなく、Mさんが緑青の仕上げを希望されたので緑青が付きやすくする為でもあります。

外形のデザインを最初はシンプルな矩形にするつもりでしたが、いまいちしっくりこないので思い切って六合の山々をイメージした曲線のシルエットに変更しました。

 

 

ネジ止めにするため裏側に真鍮の丸棒をロー付けし、そこにタップ(ネジ溝)を切ります。

 

 

これから薬品で緑青を焼き付けていきます。

緑青仕上げが引き立つよう下地を薬品で硫化させ焦げ茶色にしてあります。

緑青は以外と明るい色なので、地が暗い色の方が引き立ちます。

今回は天日に当てる時間があまり期待できないので胆礬酢には漬けていません。

 

 

大分、緑青がつきました。

本来ならこの後、天日(紫外線)にあてて色に深みを出したいところです。

 

 

緑青は明るい色になるので、文字が引き立つよう台木は暗い色に着色しました。

 

 日影の大きい蔵内のカフェテーブルに看板を出したところ。

 

撤収作業しながらの天日干しでしたが、やはり紫外線に当てると緑青の色が少し落ち着いて深みがでた気がします。

 

Mさんに気に入って頂けたようで良かったです。

この後、地元の大工さんが店内壁面に設置して下さいました。

 

中之条町六合日影の大きい蔵「かふぇ蔵」、是非訪れてみて下さい。

美味しいコーヒーが飲めます!

店内でこの看板も待っていますよ。